プレイステーションが発売された1994年から、次世代機へとバトンを渡す2000年代初頭まで。この約10年間は、ホラーゲームにとって「黄金の実験期」でした。
粗いポリゴンが逆に想像力をかき立て、CD-ROMの大容量が映画のような演出を可能にした時代。そこには、今のゲームにはない「得体の知れない恐怖」が詰まっています。
今回は、PS1で発売されたホラーゲーム、サイコサスペンス、そして独特な雰囲気を持つ怪奇作品を、発売日順にすべて紹介します。名作からマイナーな隠れた怪作まで、32ビットの悪夢を振り返ってみましょう。
- (1994年 – 1995年)黎明期:恐怖の幕開け
- (1996年)サバイバルホラーの爆発と「Jホラー」の確立
- (1997年)拡張と深化:サイコホラーとゴシックの隆盛
- (1998年)黄金期:多様性の爆発と傑作の連打
- (1999年)成熟と飽和:心理的恐怖の到達点
- サイレントヒル (1999年3月4日)
- 弟切草 蘇生篇 (1999年3月25日)
- 魔女たちの眠り -復活祭- (1999年4月15日)
- ディノクライシス (1999年7月1日)
- ジャームス 狙われた街 (1999年7月22日)
- エコーナイト#2 眠りの支配者 (1999年8月5日)
- ガレリアンズ (1999年8月26日)
- バイオハザード3 LAST ESCAPE (1999年9月22日)
- 夕闇通り探検隊 (1999年10月7日)
- プラネットライカ (1999年10月21日)
- 赤川次郎 夜想曲 (1998年7月16日)
- バンパイアハンターD (1999年12月9日)
- 蒼魔灯 (1999年12月9日)
- クーデルカ (1999年12月16日)
- パラサイト・イヴ2(1999年12月16日)
- カウントダウンヴァンパイヤーズ (1999年12月22日)
- (2000年 – 2003年)黄昏の時代:PS2への移行と終焉
- パンドラMAXシリーズVOL.2 死者の呼ぶ館(2000年1月20日)
- バイオハザード ガンサバイバー (2000年1月27日)
- カオスブレイク (2000年1月27日)
- 稲川淳二 真夜中のタクシー(2000年7月13日)
- ディノクライシス2 (2000年9月13日)
- 霊刻 -池田貴族心霊研究所- (2000年10月26日)
- バロック 歪んだ妄想 (2001年3月8日)
- 赤川次郎 夜想曲2(2001年6月14日)
- SuperLite 1500シリーズ 魔紀行(2001年5月24日)
- 逢魔が時(2001年8月9日)
- 逢魔が時2(2001年9月13日)
- SIMPLE1500シリーズ Vol.74 THE ホラーミステリー ~惨劇館 ケビン伯爵の復活~ (2001年9月27日)
- コワイシャシン ~心霊写真奇譚~ (2002年7月25日)
- ゲゲゲの鬼太郎 逆襲!妖魔大血戦 (12月11日)
(1994年 – 1995年)黎明期:恐怖の幕開け
キングスフィールド (1994年12月16日)
記念すべきPS1ロンチ直後に登場した、フロム・ソフトウェアのデビュー作です。ジャンルはRPGですが、そのプレイ感は孤独と恐怖に満ちています。BGMはほとんどなく、聞こえるのは自分の重い足音と、風の音、そして怪物のうめき声だけ。3D空間で「足元が見えない」「背後が怖い」という感覚をプレイヤーに植え付けました。説明不足なほど突き放された世界観と、一歩間違えれば即死するシビアな難易度は、後の『ダークソウル』などに通じる「死にゲー」の原点であり、ダンジョン探索の恐怖を極限まで高めた作品です。
キングスフィールドII (1995年7月21日)
前作のヒットを受けて制作された続編で、舞台はメラナット島へと移ります。グラフィックや操作性は向上しましたが、陰鬱で重厚な雰囲気は健在です。広大なフィールドと入り組んだダンジョンは、どこへ行けばいいのかわからない不安を常に煽ります。ポリゴン描画の歪みが意図せず生み出す不気味な空間や、巨大なクラーケンなどのモンスターデザインは秀逸。孤独な探索の末に美しい景色に出会った時の感動と、その直後に訪れる死の恐怖のコントラストが、プレイヤーを虜にしました。
学校のコワイうわさ 花子さんがきた!!(1995年8月11日)
同名のアニメを題材にしながらも、子供向けと侮れない「トラウマ級の恐怖演出」が最大の魅力。プレイヤーは花子さんの助けを借り、学校に巣食う妖怪たちを封印する「ゴーストハンター」となります。
「テケテケ」や「人面犬」など、90年代の学校の怪談ブームを象徴する妖怪が登場し、懐かしさと不気味さが同居しています。ポップな絵柄とは裏腹に、失敗時のゲームオーバー画面や、生理的に不安を煽るサウンドは本格的。
簡単な操作で楽しめる一方、選択肢を間違えると即座に恐ろしい結末が待つ、「可愛いけれど容赦ない」ギャップが、多くのプレイヤーの記憶に焼き付いている名作です。
ダークシード(1995年10月27日)
映画『エイリアン』のデザイナーH.R.ギーガーが監修した狂気のビジュアルが魅力の作品です。主人公の脳にエイリアンの胚が植え付けられ、現実世界と「闇の世界」を行き来する物語は、まさに動く悪夢。
ポイントクリック式アドベンチャーですが、「リアルタイム進行」による容赦ない難易度が特徴。ヒントは少なく、行動が遅れると即座に詰みとなる理不尽さが、死への恐怖と焦燥感を煽ります。ギーガーの描くバイオメカニカルなグロテスクさと、頭痛に苛まれる主人公の孤独が融合した、唯一無二の芸術的ホラーです。
Dの食卓 コンプリートグラフィックス(1995年12月1日)
鬼才・飯野賢治氏が放つ「インタラクティブ・ムービー」の金字塔。最大の魅力は「現実とリンクする2時間の制限時間・セーブ不可」というシステムです。一度始めたら席を立てない制約が、プレイヤーに逃げ場のない緊張感を強います。
画面には体力表示などが一切なく、映画そのものを操作するような没入感が特徴。殺人鬼と化した父を追い、異界の古城で明かされる「食」にまつわるおぞましい真実。その悲劇的な親子の物語は、短時間ながらも強烈なトラウマと余韻を残します。
(1996年)サバイバルホラーの爆発と「Jホラー」の確立
厄 友情談疑(1996年2月23日)
アイディアファクトリーが放った、PS1初期の伝説的な「奇ゲー」サウンドノベルです。最大の魅力は、「常軌を逸した独特すぎるシステムと演出」です。ゲーム全体が架空のテレビ番組「IFTV」として進行し、途中に謎の自社CMが挟まるなど非常にシュール。さらにPS1ソフトなのにメモリーカード非対応で「パスワード制」という驚きの仕様です。
粗削りな3Dポリゴンが逆に不気味さを醸し出し、シナリオも第四の壁を越えてきたり、唐突で理不尽な超展開を見せたりと予測不能。ツッコミどころ満載ですが、その混沌とした雰囲気が今なおカルト的な人気を誇る怪作です。
トワイライトシンドローム 探索編 (1996年3月1日)
女子高生3人組が、噂の心霊スポットを探索する横スクロールアドベンチャー。「学校の怪談」や「都市伝説」をリアルにシミュレートすることに特化しており、派手な幽霊との戦闘はありません。あくまで「そこにある恐怖」を感じ、時には代償を払って逃げ帰るだけ。実写取り込みされた背景と、女子高生たちのリアルな会話劇、そして3D音響による環境音が、まるで自分も肝試しに参加しているかのような没入感を生みます。日常の延長線上にある恐怖を描いた、Jホラーゲームの金字塔です。
バイオハザード (1996年3月22日)
世界中に「サバイバルホラー」というジャンルを定着させた歴史的作品。洋館という閉鎖空間、固定カメラ視点による死角の恐怖、限られた弾薬とインクリボン。これらすべての要素が「生き残るための緊張感」を見事に演出しています。窓ガラスを割って飛び込んでくる犬や、振り返るゾンビのムービーなど、計算し尽くされた恐怖演出は多くのプレイヤーにトラウマを植え付けました。B級ホラー映画のノリをゲーム体験として昇華させた、エンターテインメント・ホラーの最高峰です。
キングスフィールド III(1996年6月21日)
フロム・ソフトウェアが誇る3DダンジョンRPG「ヴァーダイト三部作」の堂々たる完結編です。最大の魅力は、前作から格段に広がったシームレスなオープンワールド的フィールドと、王道ながらもどこか陰鬱で孤独なダークファンタジーの世界観にあります。
最大の魅力は、前作までの「地下迷宮」から「シームレスな広大なフィールド」へと進化した冒険感です。森や城、ダンジョンがロードなしで繋がる世界は当時革新的で、孤独なダークファンタジーの没入感を極限まで高めています。
死の危険に怯えながら暗い迷宮や森を少しずつ進むヒリヒリとした緊張感は、ホラーゲームに匹敵します。後の『ダークソウル』シリーズなどに繋がる原点としての貫禄を、存分に味わえる名作です。
トワイライトシンドローム 究明編 (1996年7月19日)
『探索編』の直系続編であり、前作で残された謎や人間関係の決着が描かれます。噂の真相に近づくにつれて、心霊現象だけでなく、登場人物たちが抱える心の闇や狂気が浮き彫りになっていきます。特に「雛代の杜」や「裏側の街」での展開は、単なる肝試しゲームの枠を超えたドラマ性を持っています。選択肢によって「大吉」「凶」と運命が分岐し、場合によっては後味の悪い結末を迎えるリアリティも健在。探索編とセットで遊ぶことで真価を発揮する名作です。
学校であった怖い話S (1996年7月19日)
SFC版を大幅にパワーアップさせたサウンドノベルの傑作。実写取り込みされた語り部たちの表情は、SFC版以上に不気味でリアリティがあり、特に新堂誠の威圧感などはプレイヤーに強い印象を残しました。話を聞く順番によってシナリオが分岐し、総数は膨大な数に上ります。正統派の怪談から、精神的に狂った話、ギャグ、そしてスプラッターまで、あらゆる「怖い話」が詰め込まれた幕の内弁当のような作品。圧倒的なボリュームとテキストの質は、何度遊んでも飽きさせません。
刻命館 (1996年7月26日)
「館の主となって、侵入者を罠にかけて殺す」という、逆転の発想で作られたトラップシミュレーションゲーム。プレイヤーは悲劇的な運命を背負った王子となり、魔神の力を借りて館を増築し、多彩な罠を設置します。天井からタライを落としたり、床から槍を突き出したりして、侵入者の断末魔を聞くことにカタルシスを見出す背徳的なゲームデザインが特徴。ゴシックホラーの重厚な世界観と、サディスティックな快感が融合した、テクモ独自のジャンルを切り開いた一作です。
オーバーブラッド (1996年8月2日)
フル3Dポリゴンで描かれたSFサバイバルホラー。記憶を失った主人公が、遺伝子工学の研究施設で目覚め、脱出を図ります。『バイオハザード』の影響下にありつつも、物理演算を取り入れた謎解きや、カメラ視点の切り替えなど、技術的な挑戦が見られます。相棒となる小型ロボット「ピポ」を操作する場面もあり、孤独な探索の中での癒やしとなっています。操作性や演出に粗さはあるものの、SF映画のような雰囲気とドラマチックなストーリーは、隠れた良作として評価されています。
アローン・イン・ザ・ダーク2(1996年11月8日)
『バイオハザード』の元祖とも言える「固定カメラ+ラジコン操作」を採用したシリーズの第2作です。最大の魅力は、前作の静かなクトゥルフ神話的ホラーから一転、トミーガンを乱射するギャングや不死身のゾンビ海賊と戦う「ハードボイルドなアクションホラー」へ変貌した点です。
テクスチャのないのっぺりとしたポリゴンが逆に独特の不気味さを生み、探偵カーンビィとなって呪われた屋敷に挑むB級映画のような渋さがたまりません。シビアな操作性と理不尽な高難易度も相まって、今なおカルト的な人気を誇る尖った名作です。
クロックタワー2 (1996年12月13日)
前作の2D横スクロールから一転、3Dのポイント・アンド・クリックアドベンチャーへと進化しました。舞台も現代の日本や研究所へと広がり、シザーマンの恐怖を立体的表現で描いています。特筆すべきは、極限状態でのパニックを表す「RSIシステム(連打による回避)」で、プレイヤーの焦りをゲームメカニクスに直結させています。多重人格という重いテーマを扱い、サイコサスペンスとしての側面も強化されました。評価は分かれましたが、3Dホラーアドベンチャーの試金石となった作品です。
エイリアン トリロジー (1996年12月20日)
映画『エイリアン』初期3部作の世界をベースにした、主観視点(FPS)のアクションシューティングです。最大の魅力は、映画さながらの「閉鎖空間での絶望的な恐怖と緊張感」です。主人公リプリーとなり薄暗い施設を探索しますが、お馴染みの動体探知機の「ピッ…ピッ…」という接近音が恐怖を極限まで煽ります。
DOOMライクな古典的FPSですが、足元から飛びかかるフェイスハガーや、暗闇から迫るゼノモーフのプレッシャーは絶大。弾薬や体力の管理もシビアで、原作の息詰まるようなサバイバル感を存分に味わえる名作です。
(1997年)拡張と深化:サイコホラーとゴシックの隆盛
公開されなかった手記 (1997年1月17日)
『バイオハザード』ブームの最中にサンソフトから発売された、意欲的な一人称視点(FPS)のサバイバルホラー。
最大の魅力は、「視界不良」がもたらす生理的な恐怖です。舞台となる洋館は極端に暗く、光源の確保が生死を分けます。さらに、体力が減るとまぶたが閉じて視界が狭まる「まぶたシステム」という独特な演出があり、瀕死時の閉塞感はトラウマ級。操作性の悪さや高難易度から「クソゲー」と呼ばれることも多いですが、欧州の寒村を舞台にした陰鬱で湿っぽい雰囲気作りは一級品で、一部に熱狂的なファンを持つカルト作です。
ゲゲゲの鬼太郎(1997年1月24日)
アニメのキャラゲーと思いきや、実はトラウマ必至の「本格3Dホラーアドベンチャー」であることが最大の魅力です。
プレイヤーは鬼太郎ではなく、怪奇事件に巻き込まれた「何の力もない一般人」として、主観視点で不気味な3Dマップを探索します。鬼太郎たちはあくまでピンチを救うサポート役であり、自力で怪異から逃れる無力感が恐怖を強烈に煽ります。
「学校編」「ゲゲゲの森編」「肉人形編」の3シナリオを収録。薄暗いポリゴンと不気味なBGMで、原作の持つおどろおどろしさを「純粋なホラー」として真っ向から描いた異色の名作です。
恐怖新聞(1997年1月24日)
つのだじろう氏の伝説的ホラー漫画を原作とした、サウンドノベル形式のアドベンチャーゲーム。最大の魅力は、読むたびに寿命が100日縮むという「呪われた新聞」が届く理不尽な恐怖です。実写取り込み画像と原作の漫画コマを融合させた独特のビジュアルは、チープながらも昭和オカルト特有の「生々しい不気味さ」を醸し出しています。
選択肢を間違えると凄惨な結末を迎える即死トラップが多く、深夜0時に響く新聞の配達音や、除霊を試みる緊張感など、原作の持つ陰鬱でドロドロとした世界観を追体験できるカルトな一作です。
厄痛 〜呪いのゲーム〜 (1997年2月28日)
前作『厄 友情談疑』から続く、アイディアファクトリーの異色ホラーアドベンチャー第2弾です。最大の魅力は、「ゲームソフト自体が呪われている」というメタフィクション的な恐怖です。作中で登場人物たちがプレイしている「厄痛」という呪いのゲームを、現実のプレイヤー自身も遊んでいるという不気味な入れ子構造になっています。
前作の粗削りなポリゴンから一転、実写取り込みのグラフィックを多用しており、生々しい不気味さが倍増しました。相変わらず脈絡のない自社CMが挟まるなどシュールな演出は健在ですが、「画面の前のプレイヤーを直接呪おうとする」悪意に満ちたシナリオが独特の後味を残すカルト作です。
クーロンズ・ゲート -九龍風水傳- (1997年2月28日)
かつて香港に実在した魔窟「九龍城砦」をモチーフにした、伝説のカルトアドベンチャーです。最大の魅力は、「サイバーパンクと風水・オカルトが融合した圧倒的な世界観」。プレイヤーは超級風水師となり、突如現れた陰界の九龍城へ潜入して風水の乱れを正していきます。
プレレンダリングCGで描かれた猥雑でジメジメしたスラムの空気感や、奇形的な住人たちのデザインはトラウマ級のインパクト。独特のラジコン操作など人を選びますが、その退廃的でサイケデリックな毒々しさに魅了される熱狂的なファンが絶えない、PS屈指の怪作にして名作です。
悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲 (1997年3月20日)
アクションRPGですが、その世界観はゴシックホラーの極致です。耽美なキャラクターデザイン、荘厳なクラシックやロックが融合したBGM、そして古城の不気味で美しい背景美術は、ホラーというジャンルが「恐怖」だけでなく「美学」を内包しうることを示しました。広大な悪魔城を探索し、新たな能力を得て行動範囲を広げていく「メトロイドヴァニア」スタイルを確立した名作。死神や吸血鬼といった古典的なモンスターたちも、美しくリファインされて登場します。
クロックタワー ザ・ファースト・フィアー (1997年7月17日)
スーパーファミコンで発売された名作ホラーの移植版です。巨大なハサミを持った殺人鬼「シザーマン」から、非力な少女がただ逃げ惑うという「逃げゲー」の元祖。ポイント・アンド・クリック形式の操作は、焦れば焦るほど思い通りに動かせないもどかしさを生み、それが恐怖を増幅させます。隠れた場所が見つかるかもしれない緊張感、友人たちが次々と殺されていく絶望感。派手なアクションではなく、静寂と音の演出で追い詰められる心理的恐怖は、時代を超えて色あせない完成度を誇ります。
リンダキューブ アゲイン (1997年9月25日)
滅亡まで残り8年となった星を舞台に、つがい(男女)の動物を箱舟に集める異色RPGです。
最大の魅力は、動物集めという平和な目的とは裏腹な「サイコホラー全開の狂気に満ちたシナリオ」です。特に序盤のシナリオA・Bでは、猟奇的な殺人鬼や人間の執着が容赦なく描かれ、トラウマ必至の生々しい恐怖を叩きつけられます。
グロテスクな敵デザインや、タイムリミットの焦燥感も秀逸。単なるRPGの枠を超え、倫理観を揺さぶるダークで猟奇的な世界観は、今なお多くのプレイヤーの心に深い傷と衝撃を残す名作です。
ムーンライトシンドローム (1997年10月9日)
『トワイライトシンドローム』の登場人物を引き継ぎつつ、須田剛一氏の脚本・監督により、内容は極めて前衛的かつ鬱屈としたサイコホラーへと変貌しました。心霊現象よりも「人間の狂気」「近親相姦」「ストーカー」といったタブー視されるテーマを扱い、救いのない結末を迎えるシナリオは、プレイヤーに深い精神的ダメージを与えます。いわゆる「鬱ゲー」「電波ゲー」の代表作として、カルト的な人気を誇る問題作です。
(1998年)黄金期:多様性の爆発と傑作の連打
バイオハザード2 (1998年1月29日)
前作の閉鎖的な洋館から、パンデミックが起きたラクーンシティへと舞台を拡大。レオンとクレアという2人の主人公、そして「ザッピングシステム(表・裏シナリオ)」の導入により、物語の多層化に成功しました。グラフィックの劇的な向上と、画面を埋め尽くす圧倒的なゾンビの数は、ホラーゲームをニッチなジャンルから超大作エンターテインメントへと昇華させました。警察署という身近な施設が恐怖の迷宮と化す設定も秀逸です。
ナイトメア・クリーチャーズ (1998年2月26日)
19世紀のロンドンを舞台にした、ゴシックホラー・アクションゲーム。霧に包まれた街で、狼男やゾンビなどのクリーチャーを次々と倒していきます。アドレナリンゲージというシステムがあり、敵を倒し続けないと体力が減っていくため、恐怖よりも攻撃的なプレイスタイルが求められます。洋ゲー特有のダークで血生臭い雰囲気と、高い難易度が特徴。ストーリーよりも、不気味なクリーチャーを八つ裂きにする爽快感とグロテスクさに重きを置いた作品です。
クロックタワー ゴーストヘッド (1998年3月12日)
シリーズの外伝的作品で、舞台設定やキャラクターを一新しています。主人公の少女・優は、「ミコシサマ」というもう一つの人格(男性人格・翔)を宿しており、状況に応じて人格を交代しながら危機を脱します。日本的な家屋や病院を舞台にしつつ、チェーンソーを持った殺人鬼やゾンビのような敵が登場し、和製ホラーとスプラッター映画の要素が混ざり合っています。「鬼ごっこ」の緊張感はそのままに、人格交代というギミックで新たな戦略性を加えた意欲作です。
…いる! (1998年3月26日)
孤島の学校を舞台にした3Dアドベンチャー。一見すると学園モノのキャラクターゲームのようですが、文化祭の準備中に生徒たちが次々と消え、異形の怪物に変貌していくという衝撃的な展開を迎えます。後半にかけてクトゥルフ神話的なコズミックホラーへと急展開し、スケールの大きな絶望が描かれます。ポリゴンモデルの荒さが逆に無機質な不気味さを醸し出しており、隠れた名作として再評価されています。「何かが、いる」というタイトル通りの忍び寄る恐怖が味わえます。
パラサイト・イヴ (1998年3月29日)
スクウェアが放った「シネマティックRPG」。現代のニューヨークを舞台に、細胞内のミトコンドリアが反乱を起こすというSFバイオホラーを描きます。実写と見紛うほど美しいプリレンダームービーと、RPGの戦略性にアクション要素を加えた戦闘システムが融合。人体発火や肉体の溶解・異形化といったグロテスクで美しい映像表現は、当時のプレイヤーに強烈なインパクトを与えました。都会的で悲哀に満ちたBGMも評価が高く、映画を見るような没入感を提供します。
ダークメサイア (1998年6月11日)
東京の地下深くに広がる巨大な迷宮「メッシュ」を舞台に、決して倒すことのできない融合体から逃げ続ける一人称視点のホラー。主人公は攻撃手段を持たず、ただ逃げることしかできません。パートナーキャラクターと共に探索しますが、パートナーが死亡すると代わりの仲間が加わるシステムにより、誰と生き残るかで物語が変化します。無力感と閉塞感、そして地下社会のカルト的な宗教観が入り混じった独特の世界観は、現代のインディーホラーを先取りしていました。
シャドウタワー (1998年6月25日)
『キングスフィールド』の流れを汲む、フロム・ソフトウェアの3DダンジョンRPG。BGMを一切排し、聞こえるのは自分の足音とクリーチャーの息遣いのみ。武器や防具には耐久度があり、修理にはHPを支払うというマゾヒスティックなシステムが、リソース管理の緊張感を極限まで高めます。説明の少ない陰鬱な世界観と、暗闇から無言で襲い掛かる異形の敵たちは、純粋な「死の恐怖」をプレイヤーに突きつけます。
影牢 ~刻命館 真章~ (1998年7月23日)
『刻命館』の続編であり、トラップアクションとしてのゲーム性を大幅に進化させた作品。主人公は「刻人」に育てられた少女ミレニア。前作よりもトラップのコンボ(連鎖)が決めやすくなり、岩を転がして、矢を射て、最後に天井からプレスするといったピタゴラスイッチ的な殺害方法が可能になりました。ダークファンタジーな世界観の中で、罪悪感を感じつつも、美しく残酷なコンボを決める爽快感に酔いしれることができます。
エコーナイト (1998年8月13日)
フロム・ソフトウェアによる、戦闘のない一人称視点ホラーアドベンチャー。亡霊たちが彷徨う豪華客船オルフェウス号を探索し、彼らの未練を晴らして成仏させていくのが目的です。電気のスイッチを入れて部屋を明るくすると霊が消えるというシステムが特徴的。ジャンプスケア(ビックリ要素)に頼らず、静謐で切ない物語と、美しいピアノの旋律で「泣けるホラー」としての地位を確立しました。過去を変えることで現在の状況が変化するパズル要素も秀逸です。
LSD (1998年10月22日)
「ドリームエミュレーター」と銘打たれた、PS1史上最も奇妙でドラッギーな作品。クリエイターの夢日記をベースにしており、脈絡のないサイケデリックな世界をただ彷徨います。壁にぶつかるたびに場面がランダムに切り替わり、不気味なキャラクターや意味不明な巨大文字、極彩色のテクスチャに遭遇します。ゲーム的な目的や攻略法は存在せず、プレイヤーの精神を不安にさせる映像体験そのものがコンテンツとなっています。カルト的な人気を誇る「電子ドラッグ」です。
ジャガーノート 戦慄の扉 (1998年11月19日)
『MYST』ライクな一人称視点のクリックアドベンチャーですが、その内容は極めてグロテスクかつサイコセクシャルです。悪魔に憑依された恋人を救うため、彼女の精神世界(体内)に入り込み、狂った魂を浄化していきます。身体の一部や臓器をモチーフにした不気味なパズルや、宗教的なタブーに触れるような演出が満載。重苦しい雰囲気と難解な謎解きは、プレイヤーに精神的な苦痛と達成感を与える「大人のためのホラー」です。
かまいたちの夜 特別篇 (1998年12月3日)
SFCで発売されたサウンドノベルの金字塔のPS移植版。雪山のペンションに閉じ込められた主人公たちが、見えない殺人鬼の恐怖に怯えるミステリーホラーです。青いシルエットで描かれた登場人物たちが、プレイヤーの想像力を刺激します。選択肢によって物語が大きく分岐し、本格的な推理劇から、スパイアクション、悪霊編などのトンデモ展開まで楽しめます。「フローチャート機能」が追加され、全てのエンディングを見るのが快適になりました。
ミザーナフォールズ (1998年12月23日)
アメリカの田舎町を舞台にしたオープンワールド・アドベンチャー。クリスマスの日に失踪した少女を探すため、主人公は車で広大なマップを移動し、住人たちに聞き込みを行います。リアルタイムで時間が経過し、NPCたちもそれぞれのスケジュールで生活しているという、当時の技術では画期的なシステムを採用していました。デヴィッド・リンチの『ツイン・ピークス』を彷彿とさせる、田舎町の閉鎖的な空気感と謎めいたストーリーが魅力の意欲作です。
(1999年)成熟と飽和:心理的恐怖の到達点
サイレントヒル (1999年3月4日)
霧と闇に包まれた観光地サイレントヒルを舞台に、行方不明の娘を探す父親の狂気を描いたサイコホラーの傑作。ハードウェアの制約を逆手に取った「霧」による視界制限と、ラジオのノイズで敵の接近を知らせる演出が、生理的な不安を煽ります。裏世界へと変貌した時の、血と錆にまみれたインダストリアルなビジュアルは圧巻。主人公が一般人であり、戦闘が不慣れであることも恐怖を助長します。物理的な恐怖よりも、精神的な恐怖を追求した作品です。
弟切草 蘇生篇 (1999年3月25日)
サウンドノベルの始祖『弟切草』のリメイク版。グラフィックが一新され、シナリオも大幅に加筆修正されました。洋館に迷い込んだ男女が体験する恐怖を描きますが、選択肢によって話のジャンル自体がガラリと変わるのが特徴です。PS版では「ザッピングシステム」のような要素はありませんが、より美しくなったグラフィック(特に実写に近い背景)と、臨場感あふれるサウンドが、古典的な怪談の雰囲気を盛り上げます。
魔女たちの眠り -復活祭- (1999年4月15日)
SFCの名作サウンドノベルを、同じ赤川次郎氏原作である『夜想曲』のシステムに準拠してフルリメイクしたPS1版です。最大の魅力は、「閉鎖的な村の土着ホラーと極上ミステリーの融合」です。幼馴染を救うため魔女伝説が残る不気味な寒村へ向かいますが、序盤の選択肢によって物語は「魔女復活編」やサスペンス色の強い「金塊編」など、全く異なるジャンルへと大きく分岐します。
本作ではグラフィックの完全一新や新規シナリオ、待望の既読スキップ機能などが追加されました。遊びやすさと恐怖演出が大幅に強化されており、赤川ミステリーのドロドロとした不気味な側面を存分に味わえる名作です。
ディノクライシス (1999年7月1日)
『バイオハザード』のシステムをベースに、敵をゾンビから恐竜に変えた「パニックホラー」。俊敏で知能の高いヴェロキラプトルなどはドアを開けて追跡してくるため、ゾンビとは比べ物にならないプレッシャーを与えます。フルポリゴンで描かれた3D背景により、カメラワークが動的に変化し、映画のような演出が可能になりました。弾薬だけでなく、麻酔弾や調合システムを駆使する戦略性も魅力。恐怖よりも「焦燥感」にフォーカスしたアクション重視のホラーです。
ジャームス 狙われた街 (1999年7月22日)

宇宙から飛来した未知の物体によって変異していく街を探索する、異色のオープンワールド・アドベンチャー。プレイヤーは新聞記者となり、広大な街を自由に調査します。建物の中までシームレスに入ることができ、住人たちとの会話から異変の手がかりを探ります。独特の歪んだ画面演出とテクノサウンド、そして日常が徐々に非日常へと侵食されていく不気味さは、他にはないサイケデリックな体験を提供します。
エコーナイト#2 眠りの支配者 (1999年8月5日)
『エコーナイト』の続編。舞台を豪華客船から古い洋館へと移し、再び亡霊たちの魂を救済する物語が展開されます。前作同様、戦闘はなく、探索と謎解き、そして亡霊たちとの対話がメインです。ホラー要素よりも、悲恋や家族愛といった切ないドラマに焦点が当てられており、より洗練されたストーリーテリングが楽しめます。グラフィックも向上し、ゴシックな洋館の雰囲気は抜群。静かに物語に浸りたい人向けの作品です。
ガレリアンズ (1999年8月26日)
超能力(サイキック)を駆使して戦うSFサバイバルホラー。主人公のリオンは、薬物を投与することで発火や念動力といった能力を使いますが、使いすぎると暴走(ショート)して自滅するリスクがあります。この「薬物中毒」と「超能力」の管理システムが独特の緊張感を生んでいます。サイバーパンクな世界観と、被験体として造られた少年少女たちの悲哀を描いたストーリーは、スタイリッシュかつ退廃的で、カルト的な人気があります。
バイオハザード3 LAST ESCAPE (1999年9月22日)
ラクーンシティからの脱出を描く、初期バイオハザード三部作の完結編。最大の特徴は、執拗に主人公ジルを追いかけてくる追跡者「ネメシス」の存在です。エリアを跨いで追ってくる恐怖は、安息の地がないという絶望感をプレイヤーに与えました。緊急回避アクションや、弾薬の生成システムが追加され、アクション性が向上しています。崩壊する都市の終末感と、迫りくる核攻撃へのタイムリミットが、サバイバルの緊張感を最高潮に高めます。
夕闇通り探検隊 (1999年10月7日)
『トワイライトシンドローム』の精神的続編であり、中学生たちが「噂」を検証するために街を探索します。360度見渡せる3Dマップで再現された地方都市の夕暮れや夜の風景は、強烈なノスタルジーを喚起します。100日という期限の中で、44の噂を検証し、キャラクターたちの人間関係が変化していく様は、まさに「終わらない夏休み」のよう。心霊現象の怖さと、思春期特有の繊細な心の揺れ動きが同居した、唯一無二の雰囲気ゲーです。
プラネットライカ (1999年10月21日)
火星探査をテーマにしたサイコRPG。主人公ライカは多重人格者であり、状況に応じて「暴力」「欲求」「知性」といった人格を入れ替えて謎を解きます。登場人物の顔が犬だったり、世界観全体がシュールで歪んでいたりと、視覚的なインパクトが強烈です。「悪意」を集めて精神世界に干渉するシステムや、内省的で鬱屈としたストーリーは、RPGの枠を超えた文学的な体験を提供します。プレイヤーの心に深い爪痕を残す奇作です。
赤川次郎 夜想曲 (1998年7月16日)
古びた洋館「野々宮図書館」を舞台にしたミステリー・サウンドノベル。プレイヤーはアルバイトとして住み込みで働くことになり、そこで起こる怪事件に巻き込まれます。赤川次郎らしい読みやすいテキストと、二転三転するストーリー展開が魅力。幽霊が出るという噂の真相や、館の住人たちの秘密を解き明かしていく過程は、上質なミステリー小説を読んでいるような感覚です。
バンパイアハンターD (1999年12月9日)
菊地秀行の小説を原作としたサバイバルホラーアクション。ダンピール(吸血鬼と人間のハーフ)であるDを操作し、古城を探索して吸血鬼マイエル・リンクを追います。バイオハザード風のラジコン操作と固定カメラ視点を採用しており、剣術と魔法を駆使したアクションが楽しめます。ゴシックで耽美な世界観が見事に再現されており、原作ファンにはたまらない雰囲気を持っています。難易度は高めですが、Dのスタイリッシュな動きとダークな世界観に浸れる作品です。
蒼魔灯 (1999年12月9日)
テクモが誇る「トラップ悪ション」こと『刻命館』シリーズの第3作目です。最大の魅力は、「自らは戦わず、罠を連鎖させて敵を仕留めるサディスティックな快感」です。悲劇のヒロイン・レイナとなり、追手たちを館の罠にハメて倒していきます。
天井からタライを落とし、壁から針を突き出し、床のバネで吹っ飛ばすといった「罠のコンボ」が本作で飛躍的に進化しました。パズル的な思考とアクションのタイミングが要求される奥深さと、敵が華麗に罠にハマった時の圧倒的な爽快感、そしてダークファンタジーの陰鬱なシナリオが融合したシリーズ屈指の名作です。
クーデルカ (1999年12月16日)
19世紀末のウェールズ修道院を舞台にしたゴシックホラーRPG。後の『シャドウハーツ』の前日譚にあたります。探索はバイオハザード風のホラーアドベンチャーですが、戦闘はマス目移動のあるタクティカルバトルという珍しい組み合わせです。実在の役者の動きを取り入れたモーションキャプチャによるリアルな演技と、陰惨で重厚な脚本は大人の鑑賞に堪える出来栄え。恐怖と戦略、そして人間ドラマが融合した意欲作です。
パラサイト・イヴ2(1999年12月16日)
前作のRPG路線から一転、『バイオハザード』に近い操作性のサバイバルホラーへと進化した続編。最大の魅力は、銃火器と超能力「パラサイト・エナジー」を組み合わせた戦略的な戦闘です。MPを管理しつつ、魔法のような力で異形の敵を焼き払う爽快感があります。
PS1最末期の美麗なグラフィックで描かれる主人公アヤ・ブレアの美しさと、砂漠のモーテルや地下施設を探索する孤独な恐怖。マルチエンディングや豊富な隠し要素など、アクションゲームとしての完成度とやり込み甲斐が大幅に向上した名作です。
カウントダウンヴァンパイヤーズ (1999年12月22日)
ラスベガスのカジノホテルを舞台にしたサバイバルホラー。システムは『バイオハザード』を強く意識していますが、敵がゾンビではなく吸血鬼である点が特徴です。吸血鬼を倒すのではなく、麻酔銃で眠らせて「聖水」をかけて人間に戻すというユニークなギミックがあります。B級ホラー映画のようなノリと、やや大味な調整がいかにも当時の「洋ゲー風和ゲー」といった趣があり、愛すべきバカゲー・ホラーとして一部で支持されています。
(2000年 – 2003年)黄昏の時代:PS2への移行と終焉
パンドラMAXシリーズVOL.2 死者の呼ぶ館(2000年1月20日)
1980円という低価格ながら良作揃いの「パンドラMAXシリーズ」第2弾となるホラー・サウンドノベル。不動産会社の新入社員が、別荘見学ツアーの客たちと共に「迷いの森」へ迷い込み、不気味な洋館で凄惨な事件に巻き込まれるという王道のクローズド・サークルを描きます。
最大の魅力は、安価な価格設定を裏切るボリュームと容赦のない恐怖演出です。選択肢一つでオカルトから人間の狂気まで、多彩で後味の悪いバッドエンドに直結します。同シリーズの他作品のセーブデータでオマケ要素が解放されるなど、遊び心も光る隠れた名作です。
バイオハザード ガンサバイバー (2000年1月27日)
『バイオハザード』の世界観を一人称視点(FPS)で体験できるガンシューティングゲーム。自由に移動できるFPSスタイルと、ガンコンを使った直感的な射撃が融合しています。ゾンビが目の前に迫る恐怖は本家以上で、タイラントなどの強敵との戦闘は手に汗握ります。ストーリーは外伝的ですが、ラクーンシティ崩壊後の世界を描いており、シリーズファンには興味深い内容となっています。アーケードライクな短時間でのクリアを目指すゲームデザインです。
カオスブレイク (2000年1月27日)
孤島の研究所を舞台に、寄生生物(ワーム)に侵されたクリーチャーと戦うSFサバイバルホラー。アーケードゲーム『カオスヒート』の続編的存在です。『エイリアン』や『遊星からの物体X』の影響を強く受けた、粘液質で生物的なクリーチャーデザインが特徴。主人公は2人から選択でき、それぞれ攻略ルートや難易度が異なります。硬派な難易度と、無機質な研究所の冷たい雰囲気が、SFホラー好きにはたまらない一作です。
稲川淳二 真夜中のタクシー(2000年7月13日)
深夜のタクシー運転手となり、乗客から怪談を聞くホラーアドベンチャーです。
最大の魅力は、やはり「稲川淳二氏本人の肉声による怪談」を堪能できる点です。基本は乗客の話を聞き集めるサウンドノベル形式ですが、時には主人公自身が怪奇現象に巻き込まれ、選択肢を間違えると即ゲームオーバーになるスリリングな展開も待ち受けています。
一般乗客の怪談もフルボイスですが、妙に素人っぽい棒読みな演技が逆に「本当にあった話」のような生々しさと不気味さを醸し出しています。真夜中のドライブの孤独感が恐怖を煽る、独特のオカルト体験ができる一作です。
ディノクライシス2 (2000年9月13日)
前作のパニックホラー路線から一転、恐竜を次々と倒してコンボを稼ぐ、爽快感重視のアーケードスタイルアクションへと変貌しました。ジャングルや施設内を駆け回り、大量の武器を駆使して恐竜の群れをなぎ倒す楽しさは格別です。恐怖要素は減退しましたが、ポイントを稼いで武器を購入・強化するシステムや、スピーディーな展開は非常に中毒性が高く、PS1後期の技術を使い切ったグラフィックと相まって、アクションゲームとしての完成度は極めて高いです。
霊刻 -池田貴族心霊研究所- (2000年10月26日)
ミュージシャンであり心霊研究家でもあった故・池田貴族氏が企画・出演を務めた実写ホラーアドベンチャーです。
最大の魅力は、「本物の心霊写真」や実話怪談を取り入れた生々しい恐怖です。プレイヤーは研究所の助手となり、依頼される心霊現象を調査します。探索時の重苦しい空気感と、実写で突如現れる霊のビジュアルは生理的な不快感を煽るほどリアルです。
池田氏が本作発売の約2ヶ月前に急逝されたという現実の背景も相まって、単なるフィクションを超えた「曰く付きの記録映像」を観ているような、独特の薄気味悪さとリアリティを持つ作品です。
バロック 歪んだ妄想 (2001年3月8日)
セガサターン版からの移植作。「大熱波」によって歪んだ世界を舞台に、罪を癒やすために「神経塔」の最下層を目指すダークファンタジー・ローグライクRPGです。PS版では一人称視点に加え、三人称視点も選択可能になりました。ダークインダストリアルな美術デザイン、難解かつ哲学的なテキスト、そして死ぬことによって物語が進展するシステムは、プレイヤーを絶望的で美しい妄想の世界へと引きずり込みます。
赤川次郎 夜想曲2(2001年6月14日)
赤川次郎氏監修の名作サウンドノベル第2弾です。山奥の「野々宮図書館」を舞台に、いわくつきの稀覯本(きこうぼん)と来訪者が持ち込む不可解な事件を解決していきます。
最大の魅力は、恐怖一辺倒ではない「上質なミステリーとオカルトの融合」です。ユーモアを交えつつも背筋がゾクッとする展開や、選択肢で分岐する多彩な結末が用意されており、極上の推理小説を自らの手で読み解くような没入感が味わえます。
SuperLite 1500シリーズ 魔紀行(2001年5月24日)
SF・ホラー映画研究家の石田一氏が原作を手掛けた、廉価版サウンドノベルです。
心霊スポットツアーに参加した大学生たちが、京都に向かう道中で恐るべき事態に巻き込まれるオカルトアドベンチャー。最大の魅力は、「B級ホラー映画への愛とリスペクト」に溢れたシナリオです。物語はある分岐を境に、壮大な「ヒドラ篇」とパニックホラー的な「ゾンビ篇」の2つのルートへ完全に分かれます。
登場人物が「男女別の色付きシルエット」で表現される独特のチープさも、本作の怪しい雰囲気を引き立てています。知る人ぞ知る、荒削りながらもカルト的な熱量を持った一作です。
逢魔が時(2001年8月9日)
現代から江戸時代へとタイムスリップしてしまった主人公が、不気味な事件に巻き込まれていく「和風ホラー・サウンドノベル」。
最大の魅力は、「江戸の土着的な恐怖と現代人の視点の交差」です。行方不明の女性を追って辿り着いた江戸の町を舞台に、妖怪や民間信仰といった日本古来の生々しい怪談が展開されます。
選択肢によって物語が分岐する王道のシステムですが、歴史モノとオカルトを融合させた独特の薄暗い雰囲気と、引き込まれるシナリオが特徴。約1ヶ月後には別の視点から物語の裏側を描く続編『逢魔が時2』が連続リリースされたことでも知られる、和風ホラーの隠れた名作です。
逢魔が時2(2001年9月13日)
前作からわずか1ヶ月後に発売された、実質的な「後編」にあたる和風ホラー・サウンドノベル。
最大の魅力は、前作のセーブデータを読み込ませる「リンクシステム」です。前作でプレイヤーが迎えた結末の続きから物語が始まり、タイムスリップの謎と、行方不明だったヒロインの真実に迫っていきます。
「山姥」や「天狗」といった日本古来の伝承をベースにした土着的な不気味さは健在です。前・後編の分割リリースという構成には当時賛否がありましたが、江戸の怪談と現代ミステリーが交錯する重厚な物語の完結編として、前作とセットで遊ぶことで真価を発揮する一作です。
SIMPLE1500シリーズ Vol.74 THE ホラーミステリー ~惨劇館 ケビン伯爵の復活~ (2001年9月27日)
ホラー漫画家・御茶漬海苔氏の代表作『ケビンの惨劇』をベースにしたオリジナルストーリーのサウンドノベルです。
最大の魅力は、御茶漬海苔氏の描くスプラッターやパニックホラー特有の「エログロ・ナンセンスな狂気」をゲームで体験できる点です。原作漫画の持つドロドロとしたおぞましさや、理不尽極まりない猟奇的な展開がテキストと不気味な一枚絵で見事に表現されています。
チープな作りや強引な展開も多いですが、そこも含めてホラー漫画ならではの怪しい雰囲気がそのまま詰まった、B級の魅力に溢れた作品です。
コワイシャシン ~心霊写真奇譚~ (2002年7月25日)
「心霊写真」をテーマにしたアクションアドベンチャー。心霊写真に写り込んだ霊を見つけ出し、タイミングよくボタンを押して除霊を行います。開発スタッフに不幸があったという噂や、会社が倒産したことなどから、まことしやかな都市伝説が囁かれる「曰く付き」のゲームとしても有名です。ゲーム内の心霊写真の加工技術は高く、本当に写っているかのような不気味さがあり、PS1市場の最後期に強烈なインパクトを残しました。
ゲゲゲの鬼太郎 逆襲!妖魔大血戦 (12月11日)
水木しげる生誕80周年記念として作られた、コナミ最後のPS1用ソフトです。
最大の魅力は、PS1最末期だからこそ実現できた「職人技が光る最高峰の2Dドット絵」です。アニメ版ではなく原作漫画の不気味でユーモラスなタッチを完全再現しており、鬼太郎や妖怪たちの滑らかなアニメーションは芸術的すらあります。
髪の毛針やリモコン下駄など多彩な技を使い分ける王道の横スクロールアクションで、手触りの良さと絶妙な難易度が特徴。現在では高値で取引されている、2Dアクションの隠れた大傑作です。

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